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人をつなぎ、町を作る「観光」に挑戦する―みなかみ町観光協会職員 林雄一朗さん

2018.6. 8

*** 記事の内容は作成時のものであり、最新情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。***
※記事の内容は作成時のものであり、最新情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。

人をつなぎ、町を作る「観光」に挑戦する―みなかみ町観光協会職員 林雄一朗さん

世の中には多くの仕事があり、私たちの知らない世界や環境で、私たちの知らない人がさまざまな仕事に取り組んでいます。しかし、自分とは"違う"人・自分とは"違う"仕事をしている人であっても、悩んだり、やりがいを感じたり、仲間と苦労や喜びを分かち合う......こうした思いは、同じかもしれません。違うけど、同じかも―。この連載では、さまざまな仕事の、そこで働く人たちのリアルな姿を伝えていきます。

第1回目となる今回は、<群馬県みなかみ町観光協会>職員として、町のPR・観光振興に取り組む、林 雄一朗(はやし ゆういちろう)さんです。

「地元に戻るのはもっと先……」のはずが、「DMO」が私を変えた

人をつなぎ、町を作る「観光」に挑戦する―みなかみ町観光協会職員 林雄一朗さん

みなかみ町にある「猿ヶ京(さるがきょう)温泉」の民宿の息子として生まれ育った林さん。高校卒業後は地元を離れ、群馬県内の広告代理店に勤務し充実した日々を過ごしていましたが、2年前に観光協会に職員として採用され、故郷の町で働くことになりました。

「前職に不満があったわけではなく、仕事内容も楽しく充実していて、辞めようと考えたことはなかったんです。いずれは地元・みなかみの役に立ちたいと漠然とは考えていましたが、それはもっと先のこと、機会があれば……という程度に考えていましたね」

しかし、その機会が思っていたよりも早く訪れます。みなかみに住んでいた知人から「みなかみ町観光協会が職員を募集しているので、応募してみないか」と誘いを受けたのです。

人をつなぎ、町を作る「観光」に挑戦する―みなかみ町観光協会職員 林雄一朗さん

観光協会でどんな仕事をするのか、どんなスキルが役に立つのかまったく知らなかった、という林さん。ですが、なぜ未知の分野である観光の世界に飛び込もうと考えたでのしょうか。きっかけとなったのは、新聞で偶然目にした、「日本版DMO」でした。

DMOとは「Destination Management Organization」の略。地域の自治体や住民と協力して観光振興、観光地域づくりに取り組む地域密着型の組織のことで、経営的な観点から観光の舵取りを担う存在。国内では観光庁が「日本版DMO」として、2016年ごろから積極的に推進しています。DMOの存在が、林さんの中で「地元」と「観光」を身近な存在へと変えました。

「私自身、民宿の息子ということもあり、みなかみ町は観光と切り離せない町だとよくわかっています。当時はDMOが何なのかきちんと理解していたわけではありませんが、地域のためにみんなで一致団結して、大きな動きに本格的に取り組もうとしていることはわかりました。何ができるのかわからないけれど、自分も関わってみたい、挑戦してみたいと感じたんです」

採用試験を受けているタイミングで、みなかみ町も日本版DMOに申請。現在林さんは、DMOを推進していく部署である観光戦略課に所属しています。

「とても忙しい」けど、地元のために働ける嬉しさも

観光協会という組織が一体どのような仕事をしているのか、それはもしかしたら一般的にはよく知られていないかもしれず、「観光案内所で案内をしている」といったイメージかもしれませんが、実際には業務内容は多岐に渡り、「これほど忙しいとは予想していなかった」と林さんも苦笑します。

人をつなぎ、町を作る「観光」に挑戦する―みなかみ町観光協会職員 林雄一朗さん

まず、取り組まなければいけないのが、町の観光のPR活動です。

イベント情報や取り組みを、プレスリリースなどを通してマスコミなどに届けたり、取材を依頼するといったことは、観光協会であれば当然の仕事。さらに、みなかみ町の観光協会は、観光事業者や町役場などが個々に発信してきた観光情報を一元化する役割も担っており、情報発信に不可欠なウェブサイト(写真・下)やSNSの運用も行っています。

人をつなぎ、町を作る「観光」に挑戦する―みなかみ町観光協会職員 林雄一朗さん

「私が来たばかりのころは、ウェブサイトはあったもののFacebookやTwitter、InstagramなどのSNSはほとんど未着手の状態でした。しばらくは私が担当しましたが、今ではそれぞれ優秀な担当者のおかげでフォロワー数も順調に増加。町内のさまざまな場所を撮影して、とてもクオリティの高い投稿をしてくれているんですよ」

そして最も重要なのが、みなかみ町のDMOを推進する「事務局」としての役割です。みなかみ町では町や観光協会、事業者らが集まる戦略会議を設置し、その中に複数の委員会を設け、さまざまな施策を検討・提案しています。委員会による提案を受け、実務にあたるのが観光協会なのです。

例えば、町のブランディングを検討するブランド委員会では、取り組みのひとつとして、“観光協会のロゴマーク”を作成。PR用のポスターなどには、このロゴマークを必ず用いるなど、統一されたブランドでの情報発信を推進しています。みなかみ町の象徴ともいえる、谷川岳にある絶壁・一ノ倉沢から流れる「水」をイメージできるよう、「Water Shangri-La」というキャッチコピーを入れたロゴマークが完成しました。

人をつなぎ、町を作る「観光」に挑戦する―みなかみ町観光協会職員 林雄一朗さん

デジタルマーケティング委員会では町をPRするための動画作成やウェブサイトの強化を、インバウンド委員会ではアジアを中心とした5か国への営業活動……、と、多様な業務に取り組んでいます。

「従来の観光協会であれば、ここまでやらないのかもしれません。しかし、観光はただ外からお客さまが来るだけのことではなく、町の人たちの暮らし、町の環境に深く影響することです。そのことは皆さんも漠然とはわかっているのですが、観光協会は町のために責任感と使命感を持って観光と向き合う必要があります。何も知らずに飛び込んだ世界ですが、自分の故郷でそんな重要な仕事ができることを、とても嬉しく感じているんです」

町の人たち自身に「みなかみはいいところ」だと胸を張ってほしい

観光振興に取り組む林さんが、もっとも重視しているのは “みなかみという町のブランド価値を高めていく”ということ。そこには、みなかみに暮らす人たちが町を誇りに感じ、「みなかみはいいところだよ」と自信を持って言えるように―みなかみという町のブランドを、町の人たち自身にも誇りに思ってほしい―そんな思いも込められています。

人をつなぎ、町を作る「観光」に挑戦する―みなかみ町観光協会職員 林雄一朗さん

「私も当初はそうでしたが、意外に町の皆さんも地元のことを知らないものです。私は実家が温泉の出る民宿だったので、みなかみの魅力のひとつでもある、18もの温泉に、ほとんど行ったことがありませんでした。谷川岳の登山やラフティングなど、みなかみならではのさまざまなアクティビティにも、実は去年初めて挑戦しました。これが、本当に楽しいんです。こうしたこと、ひとつひとつを、地元のみなさんにも知ってほしい。『みなかみには何もない』なんて思っている人に、『そんなことはない、こんなにいいところなんだ』と感じてほしいのです」

人をつなぎ、町を作る「観光」に挑戦する―みなかみ町観光協会職員 林雄一朗さん

すでに、町のブランド価値を高める具体的な取り組みの数々も始まっています。前述のロゴマークの作成もその一環。さらに、2017年には、生態系の保全と持続可能な自然利用が調和し、自然と人間が共生している地域として「ユネスコエコパーク(生物圏保護区)」に認定されました(写真下が認定証のプレート)。田畑を耕し、観光資源である山々や温泉を管理・維持するという活動は、それまでもみなかみで行われてきたことですが、世界に認められた環境を持つ場所であるということは、誇るべきことだと林さんは話します。

人をつなぎ、町を作る「観光」に挑戦する―みなかみ町観光協会職員 林雄一朗さん

「水の素晴らしさを再認識してもらったり、エコパークに認定されたからといって、急に観光客が増加するわけではありません。しかし関東を潤す水を有すること、世界に認められた環境があることは、自信と誇り、そして町のブランド化にもつながります。その意味を、町のみなさんにも知ってほしい。すぐには分かっていただけなくても、伝え続けていくことは観光協会の役割だと考えています」

2018年4月には、町民向けのみなかみ町観光協会広報紙『Find your oasis.』を制作。町の人たちにみなかみの魅力や素晴らしさを、より具体的に伝える活動をスタート。こうした活動が、いつしか町の人たちの理解や自信につながり、いつの日か、誰もが胸を張って「ぜひみなかみに来てください」と言えるようになると、林さんは信じています。

人をつなぎ、町を作る「観光」に挑戦する―みなかみ町観光協会職員 林雄一朗さん

「『よく知らないけど観光名所と言われている場所もあるみたい……』ではなく、『私が知っている素晴らしい場所を紹介しますよ』とみんなが言えるようになれば、本当の意味で地域に根差した観光が必ず実現できるはずです」

町に根差す人たちと、これからの町を作る「観光」を

多様な取り組みを続けている林さんですが、観光協会は何かを指示したり動かしたりするのではなく、“町の人たちと共にみなかみのブランドイメージを向上させる”という姿勢を貫かなければいけないと考えています。

みなかみの人たちが置き去りにされて、観光という目的だけが独り歩きをしてしまっては意味がありません。観光で町がにぎわいお客さんがたくさん来ることは、確かに一つの目的です。しかし、それが最終目的ではなく、町の人たちみんなが良かったと思えるゴールを目指さなければ本当の意味での地域のための観光が実現したとは言えません。

なにより、人がいてこその観光。どれだけ観光資源のクオリティが上がっても、そこに根差す地元の人たちの反応が悪ければ、観光客が楽しむことはできないでしょう。町の人たちの思いをどこまで汲み取ることができるか、林さんは模索し続けています。

人をつなぎ、町を作る「観光」に挑戦する―みなかみ町観光協会職員 林雄一朗さん

「今の私の仕事は、地道に町が盛り上がるような提案を考え、皆さんと一緒に一生懸命取り組むこと。仲間として認められるために頑張る、という気持ちです」

町の人たちから協力を求められることが、何よりも仕事の原動力になるという林さん。「よかった」「ありがとう」と言われたときは、大きな達成感を覚えたと言います。

「自分が評価されたかどうかではなく、町の人たちに『よかった』と感じてもらいたいんです。観光協会の仕事というのは、そういうものだと、私は思っています」

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COLUMN

実はまだまだたくさんある! “パンフレットに載っていない(?!)おすすめスポット”

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みなかみ町は周囲の山々をはじめとして豊かな自然に囲まれた、フォトジェニックな町。林さん自身、町を巡っていると、昨今でも「こんないい場所があるんだ」と気づかされると言います。
「SNSで町の人からいい場所を教えてもらうこともあります。2017年にはフォトコンテストをはじめて開催しましたが、それはそれはたくさんの素晴らしい写真が集まりました。皆さん、他の人は知らない自分だけのおすすめの場所を持っているんですよね」

観光案内所を訪れる観光客からも、「パンフレットなどに載っていないような場所はありませんか」と聞かれることもあるとか。林さんが、いまもっともおすすめのスポットは……「縁結びの滝」だそう。

この夏は、“みなかみならではのアクティビティ”が体験できる「フロムアクアみなかみアウトドアフェスティバル(※1)」を開催。当日飛び込みでもOKなキャニオニングやラフティングを、通常よりも短い距離で、料金も安く体験できるミニツアーも予定されています。そして7月の初旬にはいよいよ谷川岳の山開き(※2)も。四季折々、大自然の魅力を堪能できる谷川岳&みなかみ町に、ぜひ一度足を運んでみては?

※1 開催日:2017年6月8日(金)〜10日(日)
※2 2018年は7月1日(日)を予定(変更となる可能性があります)

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