私たちが毎日、当たり前のように利用することの多いJR東日本の駅構内の自販機。あの大きな機械がどうやって設置されたか考えたことがある人はいるでしょうか。ましてや作業風景を見たことあるという人はほとんどいないかもしれません。
というのも、あの自販機たちは、私たちが家路についた後、終電から始発までの間に設置されているからです! そこで今回は、深夜の四ッ谷駅に潜入し、都内の自販機設置を一手に引き受けるプロフェッショナルの職人技に密着取材しました!
累計設置台数は数千台! 自販機を知り尽くすプロ集団に密着!
自販機を運んで、設置して、電源を入れて…って、けっこうシンプルな作業に思えますよね? 簡単に言えば、それだけのこと。しかし、その作業が完了するまでには、プロならではの知識と経験、そして私たちには想像もできないプレッシャーが存在するのです。
そんな仕事の裏側、そして、実際に自販機を設置する作業の全貌(?)を探るべく、JR東日本の都内の各駅を対象に自販機の設置を一手に担っている会社で働く、小川修平さんにお話を伺いました。もちろん、実際に自販機設置の現場にも潜入します!
小川さんは、自販機一筋20年以上のキャリアを誇るベテラン。JR東日本の都内の各駅を対象に自販機の設置を一手に担っている会社で、キャリアを積むことおよそ12年間。それ以前には、自販機に飲料を補充するオペレーターを約8年勤め、20年以上もの間、エキナカに設置されている『アキュア』の自販機を中心に“飲料自販機”に関するビジネスに携わってきました。
自販機設置の作業は、なにを置いても“安全第一”、そして“時間との闘い”。都内JR東日本の駅構内への自販機の設置が行えるのは、終電後、駅構内にお客さまがいなくなった後から始発までのシャッターが閉まった時間帯のみ。そう、作業に与えられる時間はたったの数時間。始発を遅らせることなど不可能…つまり、1分の遅れも許されません。「それだけに、下準備がとても大事になってきます。」と小川さんは言います。
「1年中、連日のように作業がありますが、1つとして同じ作業はありません。駅や設置する自販機の種類が異なれば、作業の内訳も変わってきます。ですから、まず依頼を受けた時点で、どの駅のどんな自販機なのか、過去のデータとも照らし合わせて情報を確認します。具体的な作業やその流れ、そして想定しうるリスクや対策まで…と、打ち合わせであらかじめ作業プランを立ておくのです。時間勝負の作業だからこそ、このような下準備や事前の打ち合わせがとても大切ですね。」
なるほど、ひとくちに自販機といっても、『アキュア』の自販機にもさまざまな種類や大きさがあり、駅の形や設計もさまざま。その“さまざま”に対応し、時間勝負でやり遂げねばならないとなれば、これはかなりハイレベルな作業になることが想像できます。
人がいない深夜の駅構内。そんな静まり返っているはずの場所で日々繰り広げられている、作業チームの熱い仕事ぶりに密着してみましょう!
静まり返った深夜の駅構内で作業スタート! エレベーターは使えない…なら、自販機はどうやってホームへ?
この日設置するのは、『アキュア』の自販機のラインアップの中でも、働く女性向けに開発された『ナチュラキュア』。女性向けらしく、自然などをテーマにしたオリジナルラッピングが施された『ナチュラキュア』と、設置のための機材などを積んだトラックが四ッ谷駅に到着したのは午前0時前。そこから終電が発つまでの1時間弱が、事前の準備時間。保全や指揮のために立ち会う現場監督と打ち合わせを行った上で、手早く自販機や機材を駅構内へ運び入れ、まずは仮置きが完了。さらに駅構内の経路を見てまわり、当初のプランに変更がないかどうかを再確認します。
そして終電が発車してから10分後、駅のシャッターが下りると、いよいよ自販機をホームに移動させる作業がスタート!
自販機の重さは、種類にもよりますが「だいたい300kg程度のものが多い」とのこと。なら、もちろんエレベーターで運ぶのだろうと思いがち。ですが、駅のエレベーターは通常、駅の利用客用に用意されているもの。自販機のような貨物の搬入に必要な重量、サイズに対応していないため、当然の事ながら、自販機をホームに移動させるために使用はできないのです。
となると、じゃあ自販機はどのようにホームに移動するのでしょう?
なんと300kg近い自販機も、改札を通って駅構内へ! 改札から階段を降りて…と、私たちが電車に乗るときと同じルートをたどるというわけです。改札にも自販機にも傷をつけたりしないよう養生を施し、数センチずつ…と、小川さんたちが数人がかりで慎重に自販機を通していきます。そしてこのあともさらに驚きの光景が…自販機は、昇降機に乗せられ、階段を使ってホームまで移動するのです!
「これだけの重さがありますからね。ほんのわずかな、たった数度の傾きでも、バランスが崩れてしまうと、落下したり、巻き込まれたり、といった大きな事故につながりかねません。一連の作業のなかで、もっとも気が抜けない瞬間です。」
小川さんが言うように、自販機を下ろしていく姿は、改札を通るときの何倍も慎重になっていることが窺えます。一段一段…いや、数センチ、もしかしたら数ミリずつ! 声を掛け合いながらゆっくりと作業を進めていきます。
ホームの幅も、いざ自販機が通るとなると思った以上に狭いもの。それでも、声を掛け合って安全確認しながら、テキパキと運んでいきます。「小さい会社な分、チームワークがいいんですよ(笑)」という小川さんの言葉通り、約300kgの重さがある精密機械だという事実を忘れさせてしまうようなスムーズな作業は、まさにプロフェッショナルのなせる技!
自販機設置は力技だけじゃない! ミリ単位の繊細な設置作業、そして最後は「美しく」!!
チーム一丸、緊張感みなぎる『ナチュラキュア』の移動作業が終わると、今度は一転してそれぞれが別々の動きを見せ始めます。この日のミッションは、新たに『ナチュラキュア』を設置すること。ですが、そのために『ナチュラキュア』と入れ替える既存の自販機の撤去や、新しいゴミ箱の併設、そして清掃作業と、付随するさまざまな作業も必要だからです。作業は一人ひとりが担当しながらも、要所要所で声を掛け合いながら進めていきます。
「若手は言われたことをやっていればいい、という風潮も以前はありました。でも今は違いますね。若手でも、新人であっても“チームの一人としては平等”という考え方で、分け隔てなく接し、それぞれが同じように責任を持つ。事前の打ち合わせで全員がすべての段取りを把握して作業にあたるようにしています。」
そして、いよいよ自販機が予定の場所に置かれると、細かな調整、設置作業へ。小川さんたちは水平器を使ったり、扉を開け閉めしたりしながら、何度となく自販機のバランスを確認。駅のホームは雨水が溜まらないよう、構造上平らにはなっていないため、既存の自販機を数センチ動かすだけでも、バランスをキープするための細かな調整が必要になるんです。
このとき、ちょっとした位置調整に使われていたのが、何十年も使われてきたような、何の変哲もない木の板。なんでもIT化が進むいまの世の中では珍しいほどシンプルでアナログ! 作業のところどころでは軍手を外して素手でチェックするなど、長年の経験や感覚がものをいう意味でも“職人芸”と呼ぶにふさわしい仕事ぶりです。
そして最後には、自販機とゴミ箱のバランスを確認した上で固定し、自販機移動後のホーム、機械の清掃を入念に行って、予定していた2時間を待たずに無事作業が完了。商品はまだ充填されていないにせよ、もうずっと前からここにあったかのように美しく佇むその姿の裏には、こうした“プロフェッショナルの静かなる闘い”が毎晩繰り広げられているのです。
“業界をリードする新たなチャレンジ”こそがやりがい
この日の作業チームのみなさん。左から昴工匠でキャリア15年目の織田さん、同社では4年目の内藤さん、現場の監督を務めるジェイアール東日本物流の吉野さん、今回お話をお伺いした12年目の小川さん
最後に、この仕事のやりがいはどこにあるのか、小川さんに尋ねてみました。
「飲料の自販機を手がける会社は他にもありますし、もちろん、各社さまざまな商品、個性があります。でも、『ああ、そんな発想や機能があったのか!』と思わされる斬新やアイデアやチャレンジは、いつも『アキュア』の自販機が先取りしているような気がします。」
例えば、この日設置した『ナチュラキュア』。味や風味、価格はもちろん、機能性やかわいさなど女性目線の商品のラインナップからその機体のデザインにまでこだわった『アキュア』の自販機ラインアップのひとつです。このほかにも、タッチパネル式の『次世代自販機』や、電源がないところでも利用できる『バッテリー式自動販売機』など…“自販機自体が「一つの店舗」である”というコンセプトのもと、常に利用する人のことを考えて、新しいチャレンジを続ける同社の自販機に携われることが、小川さんたちにとっても仕事の醍醐味なのだそう。
もちろん、新しい機械の導入は新たな作業を意味します。2010年に登場した『次世代自販機』は、なんとおよそ525kgあるという超大型サイズ。20年以上自販機に携わってきた小川さんたちも初めてみたときに「その大きさに青ざめました(笑)」と言うほど。なんと、その大きさゆえ、改札を通過することができそうになく、どう作業していいものか…と、当初は頭を抱えたそう。しかし、そしてこうした新たな局面で物を言うのが、培って来た経験と知識、そこからのアイデアや対応力、というわけです。
「こうした驚き、新しい進化…それが作業のマンネリを防止してくれるので逆にありがたいですね。自分たちの頭も使いますし、技術も向上しますからね。この『次世代自販機』を含めて『アキュア』の自販機は業界のフロントランナーとしてメディアにも取り上げられることも多い。それを目にした時は、自分たちが設置したんだという実感も得られ、モチベーションの向上にもつながります。」
私たちが気にもかけず、毎日当たり前に利用している『アキュア』の自販機、その便利さの影では、こうしたストーリーが毎晩のように繰り広げられているんです。この自販機はどうやってここまで運ばれてきたんだろう、なんて想像してみると、今日からまたちょっと新鮮な気持ちで自販機を利用できるかもしれませんよ。
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