駅で見かける＜アキュア＞の自販機。よ〜く見ると一般的な街中にある自動販売機と違うのにお気づきですか？

アキュアの自販機は、2008年登場当初からず〜っと「ブランドミックス」。「ブランドミックス」とは、自社製品に加え、他社ブランドの製品をラインアップすることです。

たしかに街中にある自動販売機は、単一メーカーの商品で構成されていることが大多数。それに比べて、いろんなブランドの飲料が集まったアキュアの自販機は、ちょっと異色の存在かもしれません。

この「ブランドミックス」を手がけるアキュアの商品バイヤーが、今回登場する「まー」さん。

2012年にアキュアに途中入社した「まー」さん、入社理由は「業界の常識に捉われず、面白い仕事ができるかも！」と、まさに「ブランドミックス」がきっかけだったそう！

アキュアの自販機のラインアップ、実はこんな手法＆想いから成り立っていたんです......それではさっそく「まー」さんに聞いてみましょう！

アキュアの自販機をよく見ると、『From AQUA』や『朝の茶事』などおなじみの＜アキュアメイド＞だけでなく、飲料メーカー各社の商品が仲良く並んでいますよね。

どうせなら自社製品だけで統一したほうが売上的にも有利な気がしますが……？

「より多くのお客さまの『飲みたい！』に応えることはもちろん、“選ぶ楽しさ”もいっしょにお届けしたい。これが私たちの一番の想いなのです。これはアキュア歴代のバイヤーにずっと引き継がれている共通の想いですね」

「ブランドミックス」は、アキュアのお家芸だったんですね！

種類がいっぱいあると、買う側としてはありがたい限り。

「味の好みは、人それぞれ。お茶ひとつとっても、『今日はサッパリがいい』『香ばしさを楽しみたい』と日々変化しますよね。だから、お茶のカテゴリでは『朝の茶事』や『信州そば茶』などアキュアメイドの商品に加え、他社の商品も広く取り揃えています」

「緑茶」と一言でいっても、それぞれ茶葉や製法、テイストが異なりますもんね！でも、どれもおいしそうで迷っちゃいそう……。

「それも狙いです！お客さまが楽しく迷いながら選べる自販機にしたいと考えています」

現在、取引のある飲料メーカーは約20社、アイテム数は120種以上だとか。この豊富さは、数あるドリンク自動販売機の中でもピカイチ！

まるで“ドリンクのセレクトショップ”ともいえるアキュアの自販機、“セレクト”である以上、“バイヤーの目利き”が不可欠。数々のヒットを送り出している「まー」さんの“目利き力”の秘密とは……？

アキュアの自販機のラインアップが大きく変わるのは、春夏・秋冬の年2回。

たくさんのブランドや商品の中から、どうやって選んでいるのでしょう？

「購買のビッグデータをフル活用しています。年齢や性別などの属性から、どんなお客さまが、どの飲み物をいつ購入されるのかを分析しているんです」

人気のドリンクは、データを見れば一目瞭然。じゃあ、売上上位からラインアップしていけばいい、と思いきや……

「お客さまの購買動向は、ラインアップを考える時のもっとも重要な要素です。データからお客さまの嗜好やトレンドを掴み、喜んでいただける商品・ラインアップはどんなものか？と、常にお客さま視点で分析し、仮説を立てるのです」

単に売り上げや人気を見るだけでなく、なぜその数字になったのかの“根拠”を探るというわけですね。

「人気の商品だけに寄せるのではなく、『こうした動向があるのなら、もしかしたらこんなドリンクも喜んでいただけるのでは？』といった仮説から“挑戦的商品”に挑むことも。例えばアキュアメイドだと『贅沢バニラミルク 』ですね」

『贅沢バニラミルク』は、“まるで飲むソフトクリーム”がコンセプトの“飲むおやつ”系ドリンク。ミルキーなのにすっきりとした甘さは、女性やお子さんに人気がありそうですが……？

「社内でも『女性のお客さまにウケるかな？』という声が多かったのですが、意外にも年齢層高めの男性のお客さまにも人気なのです。さらに、夕方の時間帯によく売れているというのも特徴的ですね」

仕事帰り、疲れを癒すために甘いものが欲しくなったり、夕飯までの間の小腹満たしにしたり……な〜んて、データからお客さまの姿がリアルに見えてくるというわけですね。

＞実はこのドリンクの企画開発担当、「まー」さんでした！『贅沢バニラミルク』開発秘話

ちなみに、ラインアップにおける“超定番”は？

「ごくごく飲める水やお茶系は喉が渇いた時の衝動買いが多い商品なので、朝の通勤時間帯によく売れています。また、顕著なのが、缶コーヒー。実は缶コーヒーはリピーター・ヘビーユーザーのお客さまが多いんですよ」

なるほど！缶コーヒーは、駅を利用するビジネスマンなどが一息入れたり、気合をいれるために購入している“目的買い”が多いのですね！

「しかも、“ブランド指名買い”という方がほとんど。だから、複数のブランドを取り揃えるようにしているんです」

そうか、コーヒー党の多くは「忙しい毎日の相棒はコレ！」と“定番の1本”を決めているってことなんですね！

「いつもの1本、好みのブランドがあることの安心感、そして時々『あ、こんなのもあるんだ！』と手に取っていただける機会もご提供できたらと考えて選ぶようにしています」

データからお客さまの購買行動や心理をつぶさに想像すること。それが「まー」さんのバイヤーとしての“目利き力”を支えているのですね。

「データを見ていると、その数字を形づくるのは、お客さま一人ひとりなんだって実感しますね。お客さまが飲まれるシーンやその気持ちを思い浮かべながら、『あ、飲んでくれているんだな』と、うれしくなりますね 」

そうした視点で眺めてみると、単純な数字の並びが興味深く見えてくる……う〜ん、データって面白い！

地域や駅によって「なぜかこの商品が売れる！」という現象が起こることはありますか？

「最近では、千葉の一部地域で『まろやかいちご＆ミルク』が爆売れ。現地のオペレーターさんに聞くと、その沿線は電車通学の高校生が多いのだそうです」

千葉の高校生たちの間で、ブームが起きていたのですね！

その盛況ぶりを聞いた他のエリアからも手が上がり、そこでもブレイク！その後、全エリアで展開したところ、好調に売れているそう！

「全エリアの売上データを日々追っていますが、各エリアで起きていることをつぶさに知るには、現地のオペレーターさんに聞くのが一番。データだけでは予測できないブレイクが生まれるのが、バイヤーの楽しいところでもあり、ドキドキするところでもありますね」

ちなみに、「まー」さんがうれしかったのは、「まー」さんがアキュアの商品バイヤーであることを知らない友人が「あの商品選ぶなんて、さすがアキュアだな……！」と言ってくれたこと。

「アキュアの自販機を通じて『楽しい！』『驚いた！』なんて新鮮味も感じていただけたらうれしいですね」

「これは売れたぞ！」と手応えを感じた商品は？

「先ほどお話した『贅沢バニラミルク』、そしてなんといっても『福島あかつき もも』です！もともと根強い人気があったのですが、季節感や素材を大切にしているアキュアの魅力を打ち出すべく、発売を春から初夏にしたことでより多くの方に楽しんでいただけるようになりました」

商品開発の努力と、バイヤーの販売戦略の相乗効果で実ったブレイクに、確かな手応えを感じた瞬間だったとか。

＞もものおいしさ、まるごとそのまま！アキュアの夏の人気者『福島あかつき もも』

2020年秋冬のラインアップはどうなりそうでしょうか？

「日に日に寒くなり体調管理の意識が高まる季節ですから、お客さまの毎日をしっかり考えて、元気をチャージできるドリンクを揃えるつもりです」

“目的買い”ユーザーの多い缶コーヒーも、もちろん各種取り揃える予定だそうで、他にも……

「“本物志向”の方に喜んでいただけそうなリッチなミルクティーもラインアップしますよ。エキナカはもちろん、ご自宅でもカフェのような味わいを楽しんでいただけたらうれしいですね」

季節感、トレンドも考えて、みんなが「飲みたい！」と思うラインナップを追求している「まー」さん。バイヤーとして心がけていることは、ズバリ、何でしょう？

「お客さまに飲む楽しみ、選ぶ楽しみをご提供することがミッション。だから、アキュアというブランドとして“お客さまに愛される理由”を自信もって語れるドリンクをラインアップすること、ですね。これからも、常にお客さま視点で考え抜いて商品を選んでいきます」

アキュアの自販機に新しい商品が届くまで、こんな努力と熱意があったとは……！

たかが自販機？されど自販機！アキュアの自販機を見つけたら、「まー」さんの想いがギュッと詰まったラインナップ、ぜひチェックしてみてください！