2ヵ月ぶりに"青森りんご"の故郷、青森県津軽地域にある桑田隆敏さんのりんご畑を訪ねてみました。前回は、まだ指先ほどのサイズしかなかったりんごたちですが、梅雨の時期を経て、どうなっているのでしょうか? シリーズ第2回目となる今回は、夏場の農作業とともに、その成長ぶりを追いかけます。
[6~7月]キズや病気予防だけじゃない! 「袋掛け」が大事な理由
梅雨も中盤に差しかかってくる6月下旬~7月上旬の作業の中で、もっとも手間がかかるのが、畑になっているりんごの実の1つ1つに袋を掛けていく「袋掛け」と呼ばれる作業。一見、単純作業のようにも思えますが、風や雨で取れないよう、手早く、丁寧に袋掛けを行うには熟練の技を要するといいます。
桑田さん「すべて手作業で行っているのですが、私の畑では、日差しが強くなり始める6月末~7月中旬頃までに袋掛けを終わらせるようにしています。1人で袋掛けするりんごの数は、1日に3,000~4,000個ぐらいかな」
途方もない数に驚きましたが、これは桑田さんのようなこの道40年以上のベテランの技ああってこそ。経験の浅い若い農家さんの場合は、もっと時間がかかるのだとか。
では、なぜりんごに袋を掛けるのか、皆さんはご存じですか? キズや病気から守るためといった理由はなんとなく想像がつきますが、実はもう一つ大切な役目が! それは、りんごを赤く色づかせるため。袋で日光を遮り、本来実で作られる色素を退化させることで、色が鮮明になり、真っ赤なりんごに育つのだそうです。
大変な作業ではありますが、こうした手間と愛情がおいしいりんごを育てていくのですね。
[7~8月]太陽の光が、りんご1つ1つに届くように……りんごの出来映えを変える細やかなケア
本州の最北端に位置する津軽半島といえども、夏場は30℃近くまで暑くなります。気温がぐんぐん上昇する7月から8月にかけては、新たな枝が伸びやすい時期。実の成長とは関係のない不要な枝のことを「徒長枝(とちょうし)」と呼ぶのですが、農家さんはこの枝を見つけては、連日せっせとはさみで切っていきます。
桑田さん「枝が伸びてくると、葉っぱが光を遮ってしまうので、りんごの色づきや味に影響が出てしまうんですよね。それに、本来だったら、実にまわしたかった栄養分を伸びてきた枝が使ってしまうので、不要な枝は切り落とす必要があるんです」
太陽の光は、りんごの甘みや旨味を凝縮してくれるのだとか。すべてのりんごにしっかり光が当たるよう、ここまで細やかなケアが施されているとは思いもよりませんでした。
さて、りんごの実が成長し、悪い実と良い実の差がはっきりと分かるようになってくるのも、ちょうどこの頃。実が小さかったり、形が悪かったりするものは、頑張って育てても、生食用としては販売できないため、選定して摘み取る「摘果(てきか)」を行います。春先に行う「摘果」に対して、この時期に行う摘果作業は「仕上げ摘果」と呼ばれています。
また、実が大きくなってくると重さで枝がしなってくるため、それを支えるための柱を入れる「支柱入れ」や下草刈り、薬剤散布など、細かい作業は尽きません。
[9~10月]袋を外すタイミングの見極めが、農家さんの腕の見せどころ!
そもそも、りんごの色が赤いのは、皮に含まれる色素の影響。秋になり、気温が徐々に低下してくると、その色素が本格的に増えてきます。では、いつ頃から色づき始めるのでしょうか?
桑田さん「畑のすぐ目の前にある山が紅葉してきたら、そろそろ畑のりんごも色づき始める頃だな、という目安にしています。この時期になったら袋を外し、鮮やかな赤色になるよう紫外線に当てていくのですが、袋を外すタイミングを間違うと色が悪くなってしまうので、時期の見極めがとても重要になってきます。また、袋の中は熱がこもって温かくなっているため、外気との温度差が少ない昼時に袋を外すなど、細心の注意を払っているんですよ。気温の低い朝晩に袋を外してしまうと、気温差でりんごがヤケドを起こしてしまうんです」
二重構造になっている袋は、いっぺんに外してしまうと日焼けを起こしてしまうので、外袋を外してから3日後にもう一度中の袋を外す作業を行っているそうです。赤く美しいりんごを育てるのは、手間暇がかかる大変な道のりなのですね。
[9~10月]日射と反射光のダブルパワーで、りんごを赤く染める!
りんごを赤くするための作業はまだまだ続きます。袋を外したりんごは紫外線を浴びることで一気に赤く色づいていくのですが、より効果的に日差しを浴びられるよう、地上にアルミ箔を施したシートを敷き、反射光を利用するのです。
桑田さん「シートを敷くことで、お尻の部分や内側になっている果実まで、ムラなく色づかせることができるんですよ」
[9~11月]赤いりんごづくりの最大の難所!? 農家泣かせの「葉摘み」作業
▲葉摘みを行わず育てる「葉とらずりんご」(※画像はイメージです)
りんごを赤く色づかせるために農家が最も苦労をする作業、それが「葉摘み」。りんごに日射をまんべんなく当てて、ムラなく色づきをよくするために、光を遮る葉を1枚1枚摘み取っていくのだといいます。
桑田さん「葉摘みを行ったら、裏側の部分まできれいに赤くするため、軽くツルをねじってりんごの向きを変える“実まわし”をして収穫前の主な作業は終了。あとは全体が色づくのを待つばかりです」
りんごの色といえば、真っ先に“赤”を思い浮かべますが、この美しい“赤”を出すために、並々ならぬ苦労があったのですね。
さて、りんごを赤く色づかせるために大変な苦労があることをお伝えしてきましたが、その一方で、「葉摘み」の作業を行わない“葉とらずりんご”のおいしさにも、いま注目が寄せられています。
桑田さん「葉で作られた養分が果実に蓄えられることで、甘さが増すといわれています。葉っぱは、りんごのおいしさを作る“工場”なので、あえて葉を摘み取らないことで、従来よりも甘いりんごに仕立てることができるんです。葉摘みしないので色ムラはありますが、見た目よりも味を優先したいという方にはおすすめですね」
現在、りんご農家の数は高齢化により減少の一途をたどっているといいますが、こうした手間のかかる作業の軽減は、農家さんにとっては大変ありがたいことなのだとか。
農家の救世主!? 甘くておいしい“黄色いりんご”とは…
もう1つ、労働力不足に悩む農家さんの“救世主”として注目を集めているのが、「トキ」や「王林」、「シナノゴールド」といった黄色い品種のりんごたち。りんごを赤く色づける必要がないため、袋掛けを行ったり、反射シートを敷いたり、葉を摘み取ったり、といった手間のかかる作業をしなくていいのだといいます。
桑田さん「黄色いりんごと聞くと、なんとなく酸っぱいイメージを持つかもしれませんがそんなことはありません。袋掛けや葉摘みを行わないので太陽をいっぱい浴びて、むしろ甘さやおいしさが凝縮した味の濃いりんごがつくれるんです。手間がかからず育てやすいうえに、食べてもおいしい。『りんごは赤いもの』という偏見を捨てて、ぜひ一度味わってみてください」
桑田さん予想! 「大きな天候不順もなく、2017年もまずまずの収穫量」
手間と愛情をたっぷりかけて育てている桑田さんのりんご。ズバリ、今年のりんごの出来はいかがでしょうか?
桑田さん「今年はりんごの花の時期が早かったので、例年よりも早いペースで成長しています。5月末に一度ヒョウが降りましたが、幸い大きな被害もなく、順調に育っていますよ。空梅雨が心配でしたが、2017年も平年並みの収穫量が期待できそうです」
収穫まであとわずか。今年も無事においしいりんごができることを期待しています。
さて、シャキッとした歯ざわり、甘酸っぱい香りやコクなど、世界屈指のおいしさを誇る青森りんごですが、その味わいがそのまま楽しめるジュースがあることはご存じですか? アキュアの自動販売機で購入できるストレート果汁100%のりんごジュース『青森りんごシリーズ』では、採れたてのりんごをまるかじりしたような風味が味わえます。エキナカで、旬のりんごの味わいがそのまま楽しめるとは、うれしい限りですね!
※『アキュア』の自動販売機で購入できるドリンクは、駅・時期により異なります。
広告主名:株式会社JR東日本ウォータービジネス
広告主連絡先:東京都渋谷区恵比寿南1-5-5 JR恵比寿ビル9階 電話番号:03-6853-6001
媒体名:アキュアラウンジ
COLUMN
いま飲める青森りんごシリーズはコレ!「ジョナブレンド」
桑田さんも育てている、甘みの中にも酸味が際立つ「ジョナゴールド」を20%配合したストレート果汁100%ジュースの「ジョナブレンド」。しっかりとした酸味で後味がさっぱりとしているため、暑い夏にぴったりの一杯です。酸味がほどよく感じられる「ふじ」も同時販売中なので、2種類の味の飲み比べもぜひお楽しみください。