江戸時代から、日本人に愛されてきた麺類「そば」。長い歴史を持つだけに、その種類はとっても豊富。「十割」に「二八」、「更科」「へぎそば」......。どの名も一度は聞いたことがあるのでは。でも、味の違いを知る人は意外に少ないかも?!
今回は、そんな<そばの種類>をご紹介。有名そばはもちろん、驚愕のビジュアル&製造方法で"幻の味"と称されるそばも調べてみました。さて、あなた好みのそばは......?
まずはココから。「十割」「二八」は、そば粉の割合。そば粉の量と色は無関係?!
おいしいそばを探すなら、まず知っておきたいのが「十割」「二八」などの種類。これらの数字は、そば粉と小麦粉の割合を表します。
「十割」そばは、十割=100%がそば粉でできた麺のことです。読みは「じゅうわり」が一般的。十割そばを打つ際は、つなぎとなる小麦粉を使わず少量の水だけを加えます。そのため、そばの実の品種や産地、精粉方法、職人の腕が肝心!
熟練した職人が打つ十割そばは、麺の表面にそば粉のざらりとした粒子が感じられ、ちぎれやすい麺を口に含むと、そばの香りが口中に……!そばならではの食感・香りを堪能したいなら、十割そばを選べば間違いナシといえるかも!
十割そばのように、そば粉だけで麺を打つことを「生粉打ち(きこうち)」といいます。同様に、十割そばは「生そば(きそば)」とも表記。しかし実際は、そば店の看板・のれんなどに「生そば」と書かれているからといって、十割そばを提供しているとは限らないそう……。そば粉オンリーの麺を食べたいときには、「十割」の表示を目印にするのがベターでしょう。
また、色が濃いから十割そば、というわけでもありません。麺の色の違いは、“そば粉の差”にあるんです。そばの実は、黒っぽい外皮(そば柄)に包まれており、これがついた状態を「玄そば」と呼びます。白米に対する玄米と同様ですね。そして、外皮の内側には薄緑色の薄皮があり、さらに内側は白っぽい胚乳部。このうち、どの部分を精粉するかで、麺の色が決まるんです。
一方「二八」そばは、小麦粉:そば粉=2:8で打った麺のこと。つなぎに小麦粉を使うことで、麺にコシが生まれ、心地よいのどごしに!そば粉を8割使っているので、香りも上々。つるりとした舌触りを求める人には、ぶつぶつと切れやすい十割そばより二八そばがジャストかもしれませんね。
十割・二八はおいしいそばの代名詞とされていますが、「九割」や二八よりそば粉の少ない麺もあります。そうそう、そばは小麦粉以外のチョット意外な食材をつなぎに使うことも!それは追ってご紹介しましょう。
ラーメンの“○○系”と同じ!江戸のそば御三家「藪」「更科」「砂場」
「更科」「藪(やぶ)」なんてそばの名前も、よく耳にしますよね。これらは、そば店の系統のこと。「藪」「更科」「砂場」も江戸で営んでいた店の呼び名で、人呼んで、「江戸三大そば」「江戸そば御三家」!今も、のれん分けした店などが、その名を看板に掲げています。
「藪」は、幕末の頃、東京・千駄木にあった「蔦屋」が元祖。店が藪に囲まれていたことから、「藪そば」の愛称で親しまれていたそう。現在は、写真の「かんだやぶそば」を筆頭に、「並木藪蕎麦」などが名を轟かせています。
藪系統の麺は淡緑色。これは、そばの実外皮の甘皮を適度に挽き込んだ粉を使うため。同様につくられた麺は、薮系統の店のものでなくとも、藪そばと呼ばれることがあるようです。特筆すべきは、香ばしい味わい!後出の「更科」に比べて庶民的な味なので、粋な江戸っ子の味を求めるなら、藪そばを選んでみては?
「虎ノ門 大坂屋砂場」などで知られる「砂場」も、もとは店名ではなく通称だったとのこと。大阪城築城時、砂のある資材置き場近くにあった店なんですって。江戸に移ったのは、江戸時代中期のこと。写真は、江戸時代から営む砂場系統の店「南千住砂場」です。
現代の大阪に砂場系統のそば店はないそうですが、江戸前そばの起源の1つが関西にあったとは……。驚きですね。
「更科」は、信州更級郡にルーツを持つそば店。信州出身の布屋・堀井清右衛門は、領主からそば屋への転身を進められるほどそば打ちに長けていたそう。江戸時代後期、「信州更科蕎麦所 布屋太兵衛」を江戸の麻布永坂町に開店しました。現在も、創始者の直系「総本家 更科堀井」などが人気を集めています。
「更科そば」と呼ばれる白い麺は、更科系統が有名にしたといえるでしょう。更科そばは、そばの実を挽いた際、最初に出てくる胚乳のみを集めた貴重な「一番粉」を使って打ちます。色のある甘皮が混ざっていないため、麺もおのずと白くなるんです。
食べてみると、そばの香りは控えめですが、ほのかな甘みが。細くしなやかな麺のため、のど越しなめらか。更科そばの別名が、「御前そば」「御膳そば」であることにも納得の品のいい味わいです。
白く繊細な更科そばの対局にあるのが、「田舎そば」。こちらは店の系統ではなく、“田舎でつくられたようなそば”を指します。それゆえ、粉の挽き方・配合、切り方などは多種多様。傾向としては、黒っぽく、太めの麺が多いようです。
都心でも田舎そばの提供店は多々あるので、野趣あふれる味わいをお望みなら探してみてくださいね。
極めるなら、各地のそばに注目。つなぎに海藻!暗黒カラーのそばも?!
江戸三大そばをご紹介しましたが、日本の「三大そば」がなにかはご存知でしょうか?答えは、岩手県の「わんこそば」、長野県の「戸隠そば」、島根県の「出雲そば」!どれも麺や食べ方に特徴があり、日本各地に多様なそば文化が根付いていることを教えてくれます。
ほかにも少しだけご紹介すると、新潟県魚沼地方発祥の「へぎそば」は、海藻のふのりをつなぎに使ったコシの強いそば。「へぎ」の名は、「片木」(へぎ・板状の器)に、「手繰り」(もしくは手振り)で一口分ずつ盛りつけることから。同地ではわさびが採れなかったため、からしを添えて食べるのもユニークです。
北海道中川郡の音威子府(おといねっぷ)村には、こんな暗黒色(!)のそばがありました。「音威子府そば」と呼ばれるこの麺は、80年以上続く同村の製麺所がつくるもの。
外皮の甘皮もしっかり挽き込んだ黒い麺でありつつも、ぼそぼそ感がなく、コシは強め。もちろん、そばの香りも超濃厚!どんなトッピングを加えても、その風味が消えることがないほど濃厚な味とか。郷土料理ではないものの、マニアに話題(?!)のダークなそば、一度は味わいたいものです。
<そばどころ信州>には、山菜入り“幻の麺”&凍らせた“文化財指定のそば”も
そんな各地のそばの源泉ともいえるのが、そばの名産地・信州です(コチラ の記事をご参照あれ)。「江戸のそばも、現在の各地で愛される名物そばも……。すべてのそばは、信州に通ず!?」)「信州そば」という名称は、多くの人が耳にしたことがあるはず。
「信州そば」とは、長野県でつくられたそばの総称です。つまり、先にご紹介した「戸隠そば」も、信州そばの1つ。「信州そば」と一言でいっても、実にさまざまな種類があるんです。
なかには、山菜をつなぎに使ったレアな麺も。飯山市富倉地区の「富倉そば」は、山ゴボウ(オヤマボクチ)を使い、シコシコとした食感を生み出しているそうです。オヤマボクチの葉の繊維を仕込んだり、生地を乾かしたりするのに手間がかかるため、富倉そばは大変貴重!さらに雪深い信州最北の地でつくられるため、“幻のそば”なーんて呼ばれているんですよ。
信濃町柏原には、その技法が県の選択無形民俗文化財に指定されているそばまでありました!その名は、「凍りそば」。地域によっては「凍み(しみ)そば」とも呼ばれています。
つくり方は、茹でた麺を一口大に丸めてざるに並べ、厳寒期に野外で一晩凍結。その後、乾燥・凍結を繰り返しながら、1ヶ月以上かけてフリーズドライ化させるそう。囲炉裏の鍋につくった汁ものに、凍りそばを入れた「とうじかご」(小さなざる)を浸し、汁で戻すのが伝統的な食し方とか。“凍み”といえば、豆腐(高野豆腐)やこんにゃくですが、そばにもあったとは。選択無形民俗文化財の味、気になります……!
次の休日は、ご当地そば?あの駅で名店探し?おともには「信州そば茶」を
香り豊かな黒っぽい麺、品のいい甘みを持つ白い麺、はたまた食感に個性アリの海藻・山菜を使った麺……。あなた好みのそばは、見つかりそうですか?次の休日は、おうちでそばづくし……もいいけれど、そばどころ信州を電車で訪れてみても。いつもの駅で、おいしいそば店を探してみるのも楽しそうです。
そば巡りへお出かけの際は、ぜひ、JR東日本の<エキナカ>で「アキュア」の自販機を探してみて。毎年この季節、「アキュア」には「信州そば茶」のボトルが並んでいるんです!持ち歩きにぴったりの280㎖のボトルは、そば店ののれんを思わせる藍染め風のデザイン。キャップを開けて口にふくむと、そばの実の香ばしさがふわりと広がります。
この香り高さは、麺に使われる一般的なそばの実に、ダッタンそばの実を加えているからこそ。どちらも信州産だけを使い、絶妙な配合でブレンドしているんです(『信州そば茶』、おいしさの秘密はコチラ の記事で!))。
実はこのそば茶、本場・信州ではとくに人気を博しているんですよ(データが示す『信州そば茶』の人気) 。信州の人々&信州に集う人々に認められた味(?!)「信州そば茶」、そば巡りのお出かけ時はもちろん、そばの香りをもっと気軽に楽しみたい方にもオススメです!
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