暑く長い、日本の夏。過酷な気候のなか、人々の心と身体にうるおいを届けるため、汗を流す仕事人たちがいます。"飲料自販機のオペレーター"という仕事もそのひとつ。この猛暑、水分補給はおおげさでなく"体調や生死に関わる"大切なコトのひとつ。移動時に利用するエキナカで、ノドが渇いたときに飲み物が売り切れていたら......。悲しいだけでなく、カラダも辛くなってしまいます。
さあ、今回は「多くの人々にそんな思いはさせない! 飲みたいときに飲みたいもので、ノドを癒してほしい!」と、この猛暑のなか奮闘する、飲料自販機の若手オペレーターに密着取材! 無機質な自販機の裏にある"静か、かつ、熱い使命感"----自販機ファンのみならず、"働く・頑張る"すべてのみなさんに向けてお届けします!
多くの人が行き交うビッグターミナル・JR立川駅。自販機も、オペレーターも、フル稼働!
今回密着取材したのは、飲料自販機の管理を行うネオス株式会社の阿部友哉さん。現在28歳の阿部さんは、この仕事をはじめて約4年半。東京都下のビッグターミナルである、JR立川駅のエキナカ自販機を担当する、若手オペレーターです。
「この仕事に就く前は、きっと多くのみなさんが想像されるのと同様、“飲料自販機のオペレーター=飲料補充する人”と思っていました。でも実は、補充は数ある作業のほんの一部。売り上げを毎日確認したり、どんな飲料が求められているかを考えたり、売り上げの人気を見て、商品を入れ替えたり。あとで詳しくお話しますが、“超・夏仕様”のラインアップにしたことも(笑)。そして、真夏はとくに売り切れを出さないようにすることも大切ですね」
「えっ! 飲料を補充するのがメインの仕事じゃないの?!」と驚いた方も多いのでは? 数多くの自販機に対して、さまざまな作業をこなしていく——そんな阿部さんの1日に密着、一部始終を拝見しましょう!
阿部さんが担当している立川駅のエキナカには、駅で働く人たちのオフィスに設置されているものもふくめて、35台(!)もの飲料自販機が設置されています。それらの自販機で購入できる膨大な数の飲料たちは、毎日、毎日、駅から離れた営業所から、トラックに積んで運んでくるというわけ。
「駅に飲料を運びこんだら、朝から夕方5時頃まで、ずーっと駅で作業しています。駅に住んでるみたいですよね(笑)」
同じく立川駅を担当する先輩オペレーターの山岡さん(写真左)も、「一日中人が多い場所なので、どれだけ周りに配慮しながら作業できるかが大切。それができてこそ一人前です」と教えてくれました。
自販機を使わないお客さまだって大切。人が行き交うエキナカ、だからこその作業工程とは
阿部さんの業務は、朝の通勤時間帯には既にスタート。前日の夕方に飲料を積み込んでおいた専用トラックで、まずは駅に到着。そこからまずは「売上金の精算」をします。立川駅は、通常2名で担当。二手に分かれて、作業を進めていきます。
「朝は、駅に人が溢れる時間。乗り降りや行き来をされるお客さまが最優先です。だから、補充ではなく、自販機1台1台を回って売上金を回収し、なにがどれだけ売れているかを確認する作業に徹します。売上金の精算時は自販機の扉を開けていますが、もちろん商品を購入いただけます! 『作業中だから……』と気をつかってくださる方も多いようですが、全然問題ないので、遠慮なく声をかけてください」とのこと。
売り上げが確認できたら、今度は補充する商品を各自販機まで運搬。とくにたくさんの飲料が求められる夏は、その重量はかなりのものになるはず。どのように運んでいるのかを伺うと……。
「エレベーターは使いません。エスカレーターも、です。これらは駅を利用されるお客さまのための設備。われわれは乗降されるお客さまがいらっしゃらないタイミングを見計らって、階段で運んでいるんです」
以前の記事(「潜入!深夜の自販機設置現場! 真夜中の駅で繰り広げられる『プロフェッショナルたちの静かなる闘い』」)で、設置会社の方々も同じことをおっしゃっていました。駅は利用されるお客さまを最優先に設計されており、かつ、日々最適化されている——この理念は、こうした駅に関連する業務を担当するスタッフにもしっかり浸透しているというわけです。
こちらが、実際に階段で運んでいる様子。補充用の飲料などがぎっしり詰まった箱を何箱も「スピージィ(階段昇降機)」に乗せて、一段一段、慎重に上がっていきます。山岡さんの表情からも、いかに慎重に作業を進めているかがわかるはず。もっとも重いときには、一度に運ぶ重量が100キロ近くになることもあるそうです。
1台あたりの補充は、だいたい5分ほどと非常にスピーディー! ちなみに自販機に並ぶ商品の種類を減らすと、補充のスピードは早くなります。「水・水・水」というように、人気の商品をいくつも並べれば、売り切れが減るためです。しかし、あえてさまざまな商品を並べるようにしているとのこと。
「選ぶ楽しさを提供したい。だから、選択肢を増やしたいし、売り切れもなくしたい。この2つを両立できるよう、手早く作業しているんです」
“どこかで見たコトのあるあのしぐさ”で念入りチェック! 間違いのない的確な作業の秘訣
日々、アキュアの商品の人気からラインアップを考えているオペレーターは、どの飲料がどの場所の自販機に入っているのかも、しっかり把握しているとか。「作業中に、『あの飲料が買いたいんだけど、どこに売ってる?』なんて質問も大歓迎です」と阿部さん。
補充し終えたら、商品の価格表示などに間違いがないかを念入りにチェックします。上の写真・右は、補充したあとの確認作業を行う阿部さんですが、このしぐさ、どこかで見覚えがありませんか? そう、エキナカオペレーターのみなさんも、駅員さんと同じ“指差し確認”を行っているんです!
「駅員さんは、お客さまと電車の安全のために、指差し確認をしていますよね。われわれの担当は自販機。価格表示を間違って数十円でもお客さまから余計な料金をとってしまったら、それは大事故! だから、商品補充時だけでなく、スピージィで階段を登りはじめるときは荷物が落ちないように左右の偏りを確認するなど、さまざまなシーンで声出し&指差し確認を徹底しています」
エキナカには多様な自販機があります。これは、現在、都内を中心に設置されている「イノベーション自販機」。ここJR立川駅も、都内有数のターミナル駅ということで、早々にこの最新機種が設置されているんです。
改札近く、ひときわ人通りの多い場所にある「イノベーション自販機」で作業しながら、阿部さんはこう話してくれました。
「時間通りに、確実に仕事をこなすことはとても大切。でも、ここは駅。電車に乗るのに急いでいる方、自販機を利用したい方、体や目の不自由な方もいらっしゃいます。そうした利用されるすべての方が、安全・快適であることが最優先なんです。新人の頃は、『早くみんなが買えるようにしなきゃ!』って、あわててばかりだったけど(笑)」
しかし、「毎日駅にいて、ふと気づいたんです」と阿部さん。
「“心の余裕”を持っているほうが、安全で確実な仕事ができる。駅を利用されるみなさんへの配慮もできる。実は、それが一番大切なことだったんですよね」
スピードを求められる仕事と“心の余裕”——これらは一見相反するもののように思えるものの、急ぐときほど冷静さが必要というわけです。経験を積むうちに、阿部さんが自然とたどり着いたこの真理、異なる業種で働く人たちにとっても参考になる“いい話”といえそうです。
年々暑くなる日本の&エキナカの夏! 若手オペレーターには試練のとき? いえ、成長のとき!
この日の気温は33度。夏の間、エキナカはとくに蒸し暑く、自販機の需要もアップします。
「立川駅は、一年を通して利用者が多い駅ですが、とくにゴールデンウィーク明けくらいから自販機利用が増え、ピークはちょうど7・8月。10月頃までは、かなり稼働率が高いですね。立川は残暑が厳しい地域なんじゃないかと(笑)。売り切れを出さないよう、よく利用される自販機は1日に何度か補充しているんですよ」
ときに100キロ近くになる荷物を数十台分、しかも一部の自販機には1日に数回運ぶこともあると考えると、かなりの重労働であることは想像に難くありません。お昼前の時点で、阿部さんはすでに汗だくに……! 作業中着用している「チームアキュア」のユニホームは、毎日着替えを持参しているとか。
エキナカの自販機は、種類はもちろん、サイズもさまざま。例えば写真のような42種類の飲料を販売できる自販機の場合、補充できる商品は650本(!)です。それでも1日1回の補充では足りない理由を、あらためて聞いてみると……。
「人気の商品には偏りがあります。同じ商品でも、設置されている場所が違えば、売り上げも違いますしね。それにやっぱり、飲みたいと思ったときに、飲みたいものをお届けしたいですから」
そんな風に「お客さまが飲みたいもの」を考えた結果生まれたのが、記事冒頭で教えてくれた“超・夏仕様”ラインアップの自販機だそう。
「JR立川駅は、隣接する国営昭和記念公園で、毎年大きな花火大会が催されます。その日限定で、小さな自販機を1台丸ごと、夏に人気のミネラルウォーター&機能性飲料だけにしてみたんです。あえて、駅が大混雑する日に、どんな結果が出るかな、と」
淡々とした語り口とは異なる大胆なアイディアですが、結果は意外なものだったといいます。
「僕、SNSで調べてみたんです。「話題になってたりしないかな?」って。そうしたら、『JR立川駅に、スゴイ夏っぽい自販機あった〜』という書き込みを発見(笑)。嬉しかったです。“いつもそこにあるのが当たり前”の自販機ですが、『ちゃんと注目してくれる人がいるんだな』って」
普段の経験則からユニークなアイディアを生み出し、それを結果に結びつけ、自らSNSでの口コミもしっかりチェック。これもきっと、阿部さんが新人時代には思いもつかなかったオペレーターの姿といえそう。今日も自販機に向かい黙々と業務をこなす阿部さんですが、夏を超えるごとに、一回り大きなオペレーターに成長しているのですね。
この仕事に就いて4年半。後輩もでき、やりがいを感じる機会も増えたものの、「やはり夏は忙しいし、暑いし、ラクじゃないですよね(笑)」と、阿部さん。でも、1年でもっとも忙しく、厳しい季節をこう考えているそうです。
「“忙しい=疲れる”と考えたら、苦になりますよね。けど、“忙しい=自分が成長できるチャンス”でもあるはず。僕は、どんなときも当たり前のことを丁寧にこなせるオペレーターになりたい。あとは『こんなラインアップ&仕組みがあったらいいのでは?』と、自ら提案できる力も、もっと身につけようと思っています」
“忙しい=自分が成長できるチャンス”——この前向きで、ひたむきな言葉は、業種や置かれている環境が違っても、誰の胸にも静かに、しかし力強く迫ってくる、珠玉の言葉といえるのではないでしょうか。
自販機を“エキナカのオアシス”に。「チームアキュア」のオペレーターは、今日も奮闘中
「エキナカに1日いると、誰もが急いでいるんだと実感します。あと、これは意外かもしれませんが、ブラックコーヒーって女性の方もよく購入されるんですよ。男性が眠気冷ましに好むイメージでしたが、いまは性別の垣根がなく、みんなが真剣に、自分の役割に向き合っているんだなと。そんなところからも、ふと思ったりします」
取材の終盤で、エキナカで感じることをこんなふうに語ってくれた阿部さん。若手とはいえ、最近では、後輩を指導する立場にもあるといいます。
「でも僕、あんまり『頑張れ』って言いません。軽々しく言えないですよ。だって、みんなきっと、すでに力いっぱい頑張っているんですよね」
多くの人が行き交うエキナカは、さまざまな“頑張る”が交差する場所。今度エキナカで自販機を利用するときには、阿部さんのようなオペレーターのみなさんをはじめとする「チームアキュア」の面々が舞台裏で汗を流していることを、思い出してみてください。業種は違っても、仕事に対して真剣に向き合い、日々一生懸命なのは、同じですよね? 日々頑張っているみなさんに対する「チームアキュア」の思いやりや“無言のエール”が詰まっている——「アキュアの自販機」は、自販機や商品を通して、“頑張るみなさんを応援する存在”といえそうです。
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